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Q ピアノは大人でも上達可能ですか?

幼少期にピアノをはじめなかった人のなかには、「今からでも上達するのか?」と不安を感じる人も多いようです。

まず指が思うように動かないのが、不安の原因でしょう。

 

どれくらい上達するかは、その人の興味の度合い、練習に割ける時間などによって大きく変わります。

はじめた年齢が若ければうまくなるというのは、甘い考えです。

こどもからはじめたとしても、ショパンのエチュードまでたどりつくのは、3年以上習った人の中のさらに10人に一人といったところで、バイエル(初級教本)が終わる前にやめる子どもが半数います。一方で大人からはじめてソナチネ(中級)まであっさりと進める人もいます。一番必要なのはやる気だということです。

 

「ピアニストの脳を科学する」によると、ピアノを弾く人は指の動きをつかさどる神経細胞の数が多いことがわかっています。

確かに、神経細胞の中には、11才までにピアノの練習をしたほうが、より短い練習量で神経細胞を増やすことができる部位もあるそうです。しかし、大人になっても脳の神経細胞は増えるのです。また、年齢に関係なく、練習量に比例して神経細胞が増える部位もあるのだそうです。

 

それに、指が速く動いたとしても、それはあくまで表現手段のひとつにすぎません。人を感動させるよい演奏をするために必要なのは、速く弾くことよりも音楽性豊かに弾くことです。

 

それに、どれだけ幼少期に訓練を積んで指が速くなったといっても、正しくない練習を積み重ねていれば、指を速く動かし続けることで逆に故障の原因を作ってしまいます。腱鞘炎などは一度悪くなると再発しやすく、幼少期の無理な練習が逆に一生ピアノを弾けない身体を作ってしまうことだってあるわけです。

 

したがって、重要なのは何才からはじめたかということよりも、何才からはじめたとしても、指を痛めないよう、適切な訓練を受けることだと言えるでしょう。

 

大人は楽譜の読み方を理解したり、音楽理論を理解するのは子どもよりも速く、また、ひとつの曲をどう奏でたいか明確なイメージを持たれていることが多いです。

 

ピアノの発表会に行くと、小学生(特に低学年)は、ただ楽譜のとおりに鍵盤をたたいているだけのことが多く、とても「曲」として聞くには厳しい演奏が多いです。一方、大人は、初心者でも明確に曲想のイメージを持って弾かれるので、聞く側にも心地よい演奏をされます。はじめの数年は特に、頭での理解が速く、音楽性への理解も進んでいる大人のほうが上達が早いように感じられます。

 

ただ、大人が不利な点は「自意識過剰」ということです。

子どもだったら、簡単な童謡から練習しても「弾けた!」と満足できます。

ところが大人は簡単な曲が弾けても自分を認めるのが難しい。自分が初心者であることが、プライド的に許せない。簡単な曲なんてやってられないと、難しすぎる曲に挑み挫折する。

子どもは、親がいて、親がほめてくれればうれしいのです。けれど、大人の初心者がピアノを弾いて、一曲弾けたからといって、いちいちほめてくれる人はなかなか見つかりません。

そんなとき、指導者がいれば、そばにいて、自分でも気づかない上達した点を見つけ、指摘してくれます。うまくいかないときも、ただ技術的に改善点を指摘するだけではなく、折れそうになった気持ちに寄り添って励ましてくれます。

 

そうやって挫折しないよう支えてくれる指導者に巡り会うことが上達の近道かと思います。

 

 

 

CDデビュー完全講座
Q 左右の指がばらばらに動かないのですが?

指がばらばらに動かないのではなく、ピアノを弾くという行為に慣れていないのではないでしょうか。

 

日常生活でも、左右の指をばらばらに動かす場面はたくさんあります。

・パソコンのキーボードの操作

・プレイステーションのゲームコントローラーの操作

・左手で本を片手にページをぱらぱらとめくりながら、右手でメモをとる

・右手で携帯のメールを打ちながら、左手で洗濯機に洗濯物を入れる

もし本当に、「左右の指がばらばらに動かない」ということが原因で演奏がうまくいっていないのであれば、

上記のような日常的な行動もできないはずです。

 

こういった操作は、「慣れている」ため、考えなくてもできるのです。

ですから、ピアノも慣れてくれば考えなくても弾けるようになってきます。

逆に筆者はピアノは弾けても「プレイステーションのゲームコントローラーの操作」は慣れていないのでできません。

慣れるまで続けることが大事です。

 

Q じっと鍵盤を見ないと弾けないので、楽譜を見る余裕がない

ピアノ初心者の悩みで多いのが「楽譜を覚えないと弾けない、なぜなら鍵盤と楽譜を同時に見れないから」

というものです。これも、上記のQ2と、共通するものがあるのですが、あなたはピアノは鍵盤をしっかり注視していないとうまく弾けないとしても、下記のような作業のいくつかは、できるのではないでしょうか。

・キーボードを見ないでパソコンの文字を打つブラインドタッチ

・テレビのリモコンをみないでチャンネルを変えるブラインドタッチ

・電卓の手元を見ないで計算式を打ち込むブラインドタッチ

・ゲームのコントローラーを見ないでプレイするブラインドタッチ

 

これらを習得するのにどれくらいかかりましたか。

ある程度の期間は要したけれども、できるようになりましたよね?

 

ピアノだって同じなのです。「未来永劫ブラインドタッチができない」ということは、ありえません。

 

時間をかければ、みなさんできるようになるとおもいますが、できるだけ速くピアノのブラインドタッチを習得するにはまずは一曲ずつ、鍵盤を見なくてもある程度弾けるように弾き込むこと。

そしてレッスンで何度もお伝えしているように、早め早めに手のポジションを移動させておき、鍵盤を見ない習慣をつけることがポイントでしょう。

 

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